死にたがりティーンエイジを忘れない


金縛りみたいな状態だった。

目は開いている。

まわりがざわつく声も聞こえる。

でも、体がピクリとも動かない。


肩に熱が触れた。

誰かの手のひらだ。


「おい、蒼。どうした? 大丈夫か?」


雅樹の声が耳元で聞こえた。

息が切れている。

走った後だから、当然か。


何度か揺さぶられると、唐突に体が動くようになった。

わたしはのろのろと起き上がる。

雅樹がわたしの肩を抱くように支えていて、振り払いたいのに、力がまったく入らない。

視線を上げることさえ億劫だ。

雅樹の首筋に汗が伝っているのが見えた。


わたしのまわりには人だかりができた状態だった。

小走りでやって来た先生が、わたしの前にかがみ込んで、雅樹と同じことを問う。


「自分でも、わかりません」

「授業、続けられるか?」

「……無理です」

「じゃあ、保健室に行ってこい。鹿島先生からも話には聞いていたが、難関校狙いで、ずいぶん根詰めて勉強しているらしいな。ここまで無理をさせるつもりはなかった。すまん。調子が悪いときは正直に申告して、休んでいい」


体育の先生が生徒の顔を覚えているなんて思っていなかった。

それとも、わたしが悪目立ちしているだけなんだろうか。

夏の合宿にも行かなかったし。


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