死にたがりティーンエイジを忘れない
一人では立てなかった。
手を借りるのはイヤだったけれど、雅樹に支えてもらって立った。
「蒼、抱えていこうか?」
「ふざけないでよ」
「んなわけねぇだろ」
「わたし、重いから無理だよ」
「あのなあ」
小柄だったはずの雅樹の背丈は、わたしよりも高くなっていた。
それでも、元陸上部の雅樹はすごく細くて、人ひとり抱えるなんてできるはずもない。
わたしは強引に足を前に出した。
体は引きずるほどに重くて、力が入らない脚は、どうしてもぐらぐらする。
尾崎がわたしの前に立ちはだかった。
いや、わたしは彼女の顔を見たわけじゃなくて、うつむきがちになる視界に、尾崎と名前が刺繍された体操服の立派な胸が現れたんだ。
「見てらんないよ。あたしも付いていく。二人がかりなら、ちゃんと支えて歩かせられるでしょ。蒼、ちょっと体にさわるからね」
「蒼ちゃん、あたしも行こうか?」
ひとみの声には、かぶりを振った。
これ以上、大げさにしたくなかった。
弱っているところなんて、誰にも見られたくない。
雅樹と尾崎に引っ張られるようにして、わたしは保健室に向かった。
寒くて寒くて、ずっと震えていた。