死にたがりティーンエイジを忘れない
尾崎と話すのは何ヶ月ぶりだろう?
いや、何度目のことだろう?
同じクラス、同じ文芸部。
でも、用事をこなすための二言、三言くらいしか、普段は会話がなかった。
笑顔の気配が隣にある。
尾崎は笑って告げた。
「実は、さっきのは嘘。自習室でたまたま見付けたってのは嘘なんだ。上田のこと呼び出して、好きなんだけどって言ったら、蒼への気持ちが消えるまで待ってっていう返事だった」
「バカだ」
「だよなー。蒼、遠くに行っちゃうしね。あたしにしとけば、志望校も滑り止めも一緒なのにさ。まあ、恋愛なんてさ、そんなもんかなって」
「わかんない」
「そうだね。蒼はそうやって、氷みたいに透き通っててきれいなまんまでいてよ。上田のことは、あたしが時間かけて面倒見てやるんだからさ」
保健室の扉が開く音がした。
とっさにビクッと首をすくめる。
振り返ると、そこにいたのは先生ではなくて雅樹だった。
雅樹はスタスタと近付いてきて、わたしにペットボトルを突き付けた。
温かいミルクティーだ。
「どうせまた飲み食いしてないせいなんだろ。甘いもん嫌いなのは知ってるけど、とりあえずこれ飲んで温まれよ」