死にたがりティーンエイジを忘れない
糖分も水分も、体の中に入れたくない。
でも、押し付けられたペットボトルは温かくて、わたしは喉が渇いていて、誘惑に負けた。
ペットボトルを開けて口を付ける。
甘い。
舌から喉へと、ほどよい熱が転がり落ちた。
じゅわっと染みるように、胃が温まる。
その感触がくすぐったくて、わたしは思わず、うっと小さく声を上げた。
雅樹がわたしの前にしゃがみ込んだ。
「響告大、合格して入学したら、大学のまわりの飯屋、一緒にいろいろ行ってみよう」
「何で?」
「おれ、料理とか全然できないし」
半年後にはそれが実現しているんだろうか。
そんな未来はまったくイメージもできない。
わたしにはただ、「今」があるだけだ。
過去のことも、もう忘れたふりをしている。
自分がどうしてこんな自分になったのか、思い出さないことにしている。
わたしは雅樹の言葉には応えずに、ミルクティーのことだけは、投げ付けるように「ありがとう」と言った。
先生が保健室に帰ってくると、雅樹と尾崎は体育の授業に戻っていった。
わたしは結局、その日は早退した。
大叔母が車で学校まで迎えに来た。
こたつで勉強をするつもりが、意識を失うようにして眠ってしまった。
仕方がない、と、この日だけはノルマをサボった。