死にたがりティーンエイジを忘れない


糖分も水分も、体の中に入れたくない。

でも、押し付けられたペットボトルは温かくて、わたしは喉が渇いていて、誘惑に負けた。

ペットボトルを開けて口を付ける。


甘い。

舌から喉へと、ほどよい熱が転がり落ちた。

じゅわっと染みるように、胃が温まる。

その感触がくすぐったくて、わたしは思わず、うっと小さく声を上げた。


雅樹がわたしの前にしゃがみ込んだ。


「響告大、合格して入学したら、大学のまわりの飯屋、一緒にいろいろ行ってみよう」

「何で?」

「おれ、料理とか全然できないし」


半年後にはそれが実現しているんだろうか。

そんな未来はまったくイメージもできない。

わたしにはただ、「今」があるだけだ。

過去のことも、もう忘れたふりをしている。

自分がどうしてこんな自分になったのか、思い出さないことにしている。


わたしは雅樹の言葉には応えずに、ミルクティーのことだけは、投げ付けるように「ありがとう」と言った。


先生が保健室に帰ってくると、雅樹と尾崎は体育の授業に戻っていった。

わたしは結局、その日は早退した。

大叔母が車で学校まで迎えに来た。

こたつで勉強をするつもりが、意識を失うようにして眠ってしまった。

仕方がない、と、この日だけはノルマをサボった。


< 232 / 340 >

この作品をシェア

pagetop