死にたがりティーンエイジを忘れない
ひとみはわたしの腕に自分の腕を絡めると、意気揚々と歩き出した。
はずんだマイペースなしゃべり方で、あれこれ一人語りをしながら。
日山高校の近辺に寄り道できるお店が少ないこと、それがずっと不満だったこと。
いなかの木場山ではできない高校生活にしたかったこと、特に放課後デートのクレープに憧れていたこと。
試験は問題なくクリアしたこと、だから志望校も変更なしだということ。
ひとみが下宿屋のおばさんに教えてもらった穴場のクレープ屋は、アーケードのただ中にポツリと建つログハウス風の小さな店だった。
店に入ったらすぐにカウンターがあってそこで注文をする。
奥にイートインスペースがある。
「わたし、甘いもの食べないよ」
「一口も? 試験で疲れて、食べたくならないの?」
「ならない」
「違う種類のを頼んで、分けっこしようと思ったのに」
「だったら、ほかの人を誘えばよかったでしょ」
ひとみは怒ったように言った。
「ほかの人なんていないよ。蒼ちゃんしかダメなの」
何で?
何でそんなむなしい嘘つくの?