死にたがりティーンエイジを忘れない
ひとみはいちごとチョコのクレープ、わたしはホットコーヒーを買って、店の奥に進んだ。
柱の陰になった、隅の狭い席に向かい合う。
テーブルに身を乗り出すまでもなく、向かい側の相手に触れられるくらいの狭さだ。
クレープを食べ始めると、ひとみは急に静かになった。
黙々と、少しずつ、クレープを頬張る。
わたしはそれを見るともなしに見ながら、ときどきコーヒーをすすった。
頭の中では、引っ掛かりのあった試験問題がぐるぐるとリピートしていた。
食べ終わったひとみが、いちごとチョコの甘い息を吐きながら、いきなり言った。
「ねえ、キスしてみたい」
「は?」
「ダメ?」
小首をかしげるひとみから、わたしは顔をそむけた。
ドキッとしてしまったことは事実だ。
誘惑されている。
「何でわたしなの?」
「好きだから」
「嘘」
「ほんとだよ。キスしたいとか、その手であたしの体じゅうをさわってほしいとか、思うんだよ。こういうのって、いけないことなのかな?」