死にたがりティーンエイジを忘れない
ひとみの言う「こういうの」の意味はわからない。
同性同士でのデートのことを言いたいのか、
高校生カップルが深い関係になることを言いたいのか、
進学校らしい恋愛禁止条例を破ることを言いたいのか。
いや、わたしにとって世間体はまったく関係ないんだ。
わたしはガタンと音を鳴らして席を立つ。
「そろそろ本音を出してもいいよね。一月後半からは学校もほとんど自由登校みたいなもんだし、わたし、たぶんあんまり行かなくなるから」
「蒼ちゃん?」
「わたしは先生の代わりなんだよね? 先生と生徒の関係って絶対ダメな上に、先生には家族がある。先生にはこんなこと言えないから……」
言葉は、ひとみの涙声にさえぎられた。
「こんなこと言ったよ!」
「え?」
「言ったの。好きですって。キスしたりとか、いろいろ、そういうこと想像してしまいますって」
「何で? どうしてあとちょっとの期間、壊さずに保っていられなかったの?」
ひとみは泣き顔を上げた。
「壊したかったからだよ」