死にたがりティーンエイジを忘れない
「……先生は、何て答えた?」
「ごめんねって。あと二十五年、若かったらなあって。その後も別に普通で。そうなんだよねって自分で納得した。分別のあるおじさんだから、あたし、先生のこと好きなんだし。ふられたから、もっと好きになってる」
わたしはひとみの泣き顔を見下ろしながら、どんどん胸の内側が冷めていくのがわかった。
ひとみも、上田に告白したという尾崎も、よく恋愛なんかする余裕があるもんだ。
わたしはただ、勉強しなきゃ、やせなきゃっていうだけで精いっぱいだった。
口元が歪むのがわかった。
笑ったんだ、わたしは。
「やっぱりわたしは身代わりじゃないか。やけになってるから、そうやって汚れてみようとする」
「違う」
「男子、誘ってみればよかったのに。やってみたいこと、簡単にできると思うよ」
「蒼ちゃん、あのね……」
「巻き込まないで。世界はきみを中心に回ってるわけじゃないんだ」
胸に薄暗い快感を覚えた。
勉強ができて人から好かれるひとみへの劣等感や嫉妬が、わたしの胸にはずっと積もっていた。
それを全部ぶち壊して、ひとみをわたしの中から切り離す。
たぶん、わたしは前から、こうすることを望んでいた。
ひとみはきっと泣きじゃくっただろう。
わたしはそれを確認せずに店を出た。
アーケードを抜けると、また雨が降っていた。