死にたがりティーンエイジを忘れない


それからの一ヶ月、響告大の過去問をやり込んだ。

一日のノルマは一年ぶん。

答え合わせとやり直しをするのは、世界史の記述問題だけだ。

国語、英語、数学は、本番と同じ時間配分で、ひたすら解くだけ。

自分にはこれをこなせるスピードがあると自信を付けるためだった。


そして迎えた本番当日。

初めて行った響告市は小雪がちらついていた。

盆地だから、夏は暑くて冬は寒いらしい。

試験は初日が国語と数学、二日目が英語と世界史だった。


不安の残る国語と、まったく解ける気配のない数学という、ストレスだらけの二教科が先に終わってくれるのはありがたかった。

わたしの体調はかなりギリギリだった。

食事が喉を通らなかった。

血混じりの下痢が続いていた。


国語の試験が終わったとき、教室の空気が異様な具合にざわついた。

例年の傾向から一転して、必ず出題されるといわれていた擬古文が出なかった。

その代わりに、古い児童文学が問題文となっていた。


試験対策をしっかり固めてきた人ほど、例年とはギャップのありすぎる問題文に衝撃を受けただろう。

教室のざわつきは、そういうまじめな人たちの嘆きだったんじゃないか。


わたしは、助かった。

児童文学は、好きで得意だ。

擬古文も苦手ではないけれど、恋愛系の随筆が来たときはつらかったし、国語のテストの点数は本当に運に左右される。


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