死にたがりティーンエイジを忘れない


なのに、笹山の存在が少しずつわたしの日常の中に入ってくる。

わたしのバイトの日に、夢飼いに来る。

教育心理学の講義で、わざわざわたしの隣に座りに来る。


どうして?


混乱がひたひたと迫ってくる。

視界に笹山が飛び込んでくると、わたしは逃げ出したくなる。

わたしの進む道はシンプルでいい。

イチかゼロかの二択で、できるだけゼロを選びたい。


「蒼ちゃん、よかったら昼休み、一緒に学食にでも行かない?」

「すみません。語学の予習があって、クラスの人と約束してるので」

「そう。まじめなんだな。じゃあまた、時間のあるときに」


どうして?

わたしはあなたを拒絶したいって、伝わらない?


足早に立ち去ろうとしたとき、呼び止められた。


「連絡先、教えてもらえない?」

「……どうしてですか?」

「話をしたいなって思って。メールででも」


わたしはそのとき、どんな顔をしていただろう?

メガネと少し長めの前髪だけでは、動揺はきっと隠せなかった。


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