死にたがりティーンエイジを忘れない
笹山がわたしの顔をのぞき込むようにして笑った。
「教育心理学のノート、今度、見せてもらえないかな? うっかり遅刻した日がちょっとあって、そのぶんのノートが欠けてるんだ」
「ええ……」
「助かるよ。お礼はするから」
笹山が話をする。
わたしはあいづちを打つ。
質問をされて、一言、答える。
この人はわたしと会話するのが楽しいんだろうか?
わたしは、ただただ落ち着かない気分だ。
サークルのこと。
わたしは何もしていないけれど、笹山は小さな同好会に入っている。
格闘技の試合をだらだらと観賞するだけ、と言っていた。
でも、気の合う連中と宅飲みをするというシーンが、笹山にとってこの上なく居心地がいいらしい。
最寄りのコンビニに一緒に入った。
笹山は雑誌を立ち読みして帰るらしい。
表通りに面したガラス張りの本棚に、笹山は向かう。
その途中、電話がかかってきて、ケータイをポケットから取り出す。
二十三時を回った時刻にかけてくるって、よほど親しい相手なんだろう。
彼女?
あり得なくはない。
笹山は、一般的に言って、かなりカッコいい部類だ。
話し方にもそつがないし。