死にたがりティーンエイジを忘れない


「友達からだよ。あいつ、夜行性だから」


笹山が苦笑して言った。

電話に出る直前の画面が、わたしの角度からチラッと見えた。

「LOVEKONG/タカ」と書かれていた。

サークルの仲間だろう、と何となく思った。


長引く通話になると判断したのか、笹山はコンビニの外に出た。

わたしはその隙にパンと飲み物を買って、笹山にちょっと頭を下げて自転車で走り去った。

マンションとは逆方向へ。

笹山にマンションの場所を知られるのが、何となく薄気味悪い気がして。


イライラしている自分に気付いた。

バイトが終わって、まじめな学生という型から解放されて、ストレス発散できる時間に突入するはずだったのに、邪魔された。


食べて吐いて、ぐったり疲れて、シャワーを浴びて寝る。

それがバイトの後の習慣になっている。

そこに水を差された。


自転車の前カゴに入っているのは、無難なパンが一つだけ。

イライラの対価としては少なすぎる。

もっと食べてやる。

そして盛大に吐いてやる。


学生街にはコンビニが多い。

マンションから二番目に近いコンビニで、わたしはパンを買い足した。

バターや油っけの多いパンを選ぶのがコツだ。

そのほうが吐きやすい。


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