死にたがりティーンエイジを忘れない


そんなことを考えた数日後、また夢飼いのシフトアップ後に待ち伏せしていた笹山から、言われた。


「蒼ちゃん、髪が長いほうが似合うんじゃないかな。伸ばしてみたら?」

「長くしたこと、ないです」

「そうなんだ? ボクは、見てみたいな。例えば、長い髪を普段はまとめてるのに、何かのときにだけ下ろすとか。そういうギャップっていいよね」


わたしには関係ない。

なぜ笹山はそんなことを語るの?


いや、本当はわたしだってわかっている。

笹山が何を言いたいのか。


「蒼ちゃんって、普段、めったに笑わないよね。営業スマイルみたいなのはあっても、全然。目が笑ってないっていうか」

「すみません」

「謝らせたいわけじゃないよ。ただね、見てて痛々しいというか。笑ってみてほしいなって。ああ、でも、あんまり大勢に見せたくはないかな。ボクの前でだけ」


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