死にたがりティーンエイジを忘れない


付き合ってくださいと、たぶん言われたんだと思う。

笹山がわたしの自転車を押してコンビニまで歩いて、わたしは黙って付いていった。

コンビニの明かりが届きにくい、ゴミ箱とおぼしき物置のそばで、笹山はまた舌を入れるキスをした。


何かが始まってしまった。


「じゃあ、明日。おやすみなさい」


笹山はわたしの耳元でそう言って、耳にキスをした。

まるで照れているかのように、笹山は走っていった。


わたしはへたり込んだ。

ぐったりと疲れているのは、ずっと体に力が入っていたせいだ。

震えていたせいでもあった。


震えると、体温が上がるらしい。

まるで熱があるかのように、わたしはけだるかった。


体の中のどこかがひどく苦しくて、ギリッと奥歯を噛みしめた。

頬の内側の肉を噛んでしまった。

痛みと血の味が、じわっと口の中に広がった。

そうしたら、笹山の唾液の味が舌に残っていたのがハッキリとわかった。


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