死にたがりティーンエイジを忘れない


キモチワルイ。


味わったことのない「キモチワルイ」だった。

わたしを取り巻く世界の空気がキモチワルイわけでも、自分を含む人間の心情をキモチワルイと思ってしまうわけでもなくて。


自分自身の体が、キモチワルイ。

さっきまで自分に対して向けられていた感情と行為が、キモチワルイ。

自分の口の中にある他人の唾液の味が、キモチワルイ。


受け入れられないものを押し込まれてしまった。

わたしはゼロには戻れない。

イチにされてしまったからには、もう拒めない。


「キズモノだ」


儀式のように、その夜も吐いた。

一度では気が済まなくて、眠れなくて、深夜三時に二十四時間営業のスーパーに出掛けてたくさん買って、また吐いた。

頬の内側にできてしまった傷が、食べるたび、吐くたびに痛かった。

< 272 / 340 >

この作品をシェア

pagetop