死にたがりティーンエイジを忘れない


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髪を伸ばすことになった。

笹山がそれを望んだから。

毎月ファッション誌を買うことにした。

笹山がそれを望んだから。

ケータイの連絡先を笹山に教えた。

笹山がそれを望んだから。

新しい服をいくつか買った。

笹山がそれを望んだから。


笹山は、夢飼いのマスターや教育心理学の教授に、「蒼ちゃんの彼氏になりました」と報告した。

わたしは何も口を挟まなかった。

教授は面食らっていた。

マスターは報告の数日後、営業スマイルを引っ込めだ真顔でわたしに言った。


「何か変なことがあったら、いつでも吐き出しにおいで。笹山くんはちょっと、何というか、うまく表現できないんだけど、変わった人かもしれない」

「変わった人?」

「ちょっとね、違和感がね、ないとは言えない。蒼ちゃんが客の男と接触しないように、ホールの仕事はさせないでくれって頼まれてさ」

「はあ。なるほど」


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