死にたがりティーンエイジを忘れない


帰り際、無人になった最寄り駅のホームで、笹山はわたしを抱きしめながら、わたしの体じゅうをまさぐった。

服の上からではあっても、その手がどういう欲望を持って動いているのか、ハッキリと感じられた。


キモチワルイ。


帰宅して吐いた。

食べてから時間が経っていたから、吐き切るまでの作業は苦しかった。

消化されかけた、カロリーの高すぎるパスタとピザ。

さっさと出ていってくれないと、また太ってしまう。

イヤだ。イヤだ。イヤだ。


毎月買い始めたファッション誌のモデルは、信じられないくらい細い。

わたしと同じ身長の人でも、わたしより三キロ、五キロ軽い。

わたしもそのくらいにならないといけない。


ファッション誌にはダイエットの情報も載っていた。

炭水化物を抜くこと、女性ホルモンに成分が近い豆乳を毎日摂取すること、ヨーグルトにきなこやゴマを混ぜて食べること、

そういういろんな食事の方法が提案されていた。 


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