死にたがりティーンエイジを忘れない
呼吸ふたつぶんの間、竜也は黙った。それから、ため息をつきながら笑った。
〈バイトとか勉強とか、忙しいですか?〉
「うん、まあ」
〈蒼さん、まじめだもんな。仕方ないですよね。ほぼ一年ぶりに会えるかなって、思ってたんですけど〉
「……うん」
〈あ、そうだ。今年もまたブレットたちの家にステイするんで、お土産とか預かっていきますよ。ちょっとさすがに響告市に何度も行くのは厳しいんで、おれの家に何か送ってくれたら持っていけるって感じですけど〉
「そっか。お願いしようかな」
思考も感情も鈍くて重い。
頭の中のもやが少しも晴れなくて、わたしは何も感じられない。
ケリーやブレットとまた会いたかったはずなのに。
受験が終わったらホームステイに行けるはずだったのに。
ギターも歌も再開するはずだったのに。
激しく心を突き動かされた高二の夏を思い返すと、けだるい気持ちになる。
あんなにエネルギーを使うこと、わたしはもう、できる気がしない。