死にたがりティーンエイジを忘れない


通話を終えた後、わたしは自分の部屋の床にへたり込んだまま、ぼんやりと自分の手を見下ろした。

手の甲の、中指の付け根の関節には、治り切れない傷がある。

吐くために手を喉に突っ込むとき、前歯が皮膚にこすれてできてしまう傷だ。


こんな状態なのに、わたしは竜也に会ってもいいんだろうか?


電話ひとつで、何だか疲れて、眠くなった。

疲れたとはいっても、ストレスが掛かったのとは違ったみたいで、頭の中がカーッと真っ赤になるような「食べたい吐きたい」という衝動は起こらない。

ただ、眠くなった。


眠くて当然かもしれなかった。

夜、なかなか寝付けなくてイライラして、食べて吐くことをしてしまう。

増え続ける食費を稼ぐために、かなり無理をしてバイトのシフトを入れている。

体はヘトヘトなのに眠れない。


たまには寝よう。

食べて吐くという異様な儀式をせずに済むなら、そういうときくらいは、おとなしく寝よう。


疲れたのは、自分への失望のせいかもしれなかった。

深い深い失望。

わたしは、ミネソタで交わしたいくつもの大切な約束を破っている。

でも、もう、あのキラキラしてくたびれる場所には戻れそうもない。


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