死にたがりティーンエイジを忘れない


カフェのメニューは、バターやドレッシングや生クリームなどの脂肪分がたっぷり入ったものばかりだ。

食べたら吐いてしまう。


吐くことは、わたしにとって、みじめで病んでいて汚い。

竜也と一緒に食事をして、その食事を吐いてしまったら、竜也を汚すことになるような気がした。

それはイヤだった。


竜也はサークルではなく、正規の部活に入ったらしい。

高校時代にやっていたという弓道。

バイトは個別指導塾。


「塾のバイトをさっさと決めといてよかったんですよ。おれ、変な宗教の勧誘を真に受けちゃって、引き込まれかけたんですけど、塾のバイトの先輩が救出してくれたんです」

「毎年一定数の新入生が入信しかけるんだって。お人好しがそういうのに引っ掛かる」

「お人好しってのは、自分でもわかってるんですけどね。バイトにも部活にも法学部の先輩がいて、次また『命懸けのお願い』を赤の他人にされたときは、ひとまず自分に相談しろって」


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