死にたがりティーンエイジを忘れない
竜也が食事を終えて、セットドリンクのミルクティーをもらった。
わたしは二杯目のブラックコーヒー。
わたしは、大丈夫かと訊かれて大丈夫と返すときみたいに、空っぽな気持ちで竜也に言った。
「もう食事とか誘わないで。わたし、彼氏いるから」
竜也がどんな顔をしたのか、わたしは見ていない。
知りたくなかった。
竜也は少しの間、黙っていた。
固まっていた空気が、再び動き出す。
竜也は、乾いた声で笑った。
「そうだったんですね。じゃあ、今日、迷惑だったですよね。すいません。彼氏さんに謝っておいてください。あの……彼氏さんって、どんな人なんですか?」
「どんな人、なんだろ……」
「え? えっと、共通の趣味があって知り合ったとか、何か、どんな感じなのかなって思って」
「あの人の部屋、本がない。音楽もなくて、学部も違って。あの人が好きな映画、わたしは、どこがおもしろいのかわからない」
つい今しがたまで笑っていられたのに、もうダメだ。
笹山のことを話し始めたとたん、竜也と二人で食事をしているという今の状況が、たまらなく苦しくなった。
苦しみをできるだけ抑えるために、わたしは急いで心を凍らせて、その動きを止める。