死にたがりティーンエイジを忘れない


笹山の部屋には、金曜、土曜、日曜の夜に泊まりに行く。

来いと言われるから、抱かれに行く。

掃除や洗濯を少しする。

昼間から夕方にかけては、笹山が出掛けることも多いから、わたしも自分の時間を過ごす。

たいていバイトを入れる。


いつ、どんな会話があるだろうか。

何もしゃべっていないかもしれない。

やるべきことが決まっているから、その流れに従うだけだ。

安定感はあるんだと思う。

抱かれても気持ちよくはない。

最初のころほどの痛みはなくなったから、それでよしとしている。


口数の少なくなった竜也は、別れ際になって、わたしに尋ねた。


「蒼さん、彼氏さんとうまくいってます?」

「たぶん」

「じゃあ、何でそんな、笑わないんですか? 彼氏さんと一緒にいて楽しいですか?」

「楽しいって、何?」

「え?」

「……ごめん。今の、忘れて」


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