死にたがりティーンエイジを忘れない


わたしは、竜也がしゃべっているのをさえぎった。


「竜也」


名前を呼ぶ舌がもつれる。

竜也が返事をしたみたいだけれど、言葉がわからなかった。


「竜也、来て。おかしい。頭が……」


背筋を這い上がってきたモノが頭に達して、脳みそごと、ぶわっと膨れ上がった。

そんなふうな、猛烈にキモチワルイ感触。


手足の先から順に、体が痺れながら硬直していく。

わたしはケータイを取り落とした。

背筋がビシビシ音を立てながら、腰から首のほうへ向けて固まっていって、そして。


バチン!

頭の中で何かが弾ける音を聞いた。


悲鳴を上げたと思う。

凄まじい頭痛に襲われた。

痛みが拍動する。

脳みそが熱暴走しながら膨れ上がって、今にも頭蓋骨を破裂させてしまいそうな、激痛と異物感。


視界にある光がひどい刺激になって、頭痛を増幅させる。

自分の体の中の音が、鼓膜の内側で爆発的に鳴り響いている。

吐き気がする。

体じゅうの強烈な違和感に付いていけず、あまりにもキモチワルイから、胃がのたうっている。


とにかく頭がどうしようもなく痛くて、わたしは床の上で、もがいていた。

痛みには波があった。

耐えられないほどの大波に呑まれて、こんなに痛いならさっさと死にたいと思って、頭を抱えて体を丸めて、痛みが緩んで、また次の大波が来て。


たびたび気が遠くなりながら、玄関に這っていって、ドアの鍵を開けた。

外に出ないと死んでしまう気がして、何かから逃れたくて必死だった。


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