死にたがりティーンエイジを忘れない
しばらく眠って、目を覚ましたら、竜也がベッドのそばのパイプ椅子に腰掛けて、じっと床を見ていた。
眉間にしわを寄せた難しい顔。
一緒にミネソタの夏を過ごしたころに比べて、ずいぶん大人びた。
わたしが目を開けたことに、少し経ってから竜也は気が付いた。
竜也は笑みを作った。
目元にも頬にも、クシャッとしわができた。
「もう落ち着いたみたいですね」
「うん。迷惑かけた。ごめん」
「びっくりしました。おれの高校時代に蒼さんと何度か手紙をやり取りして、おかげで住所がわかってたんで、駆け付けられましたけどね」
「ああ、そっか」
「死ぬほど心配しました。ほんとに。何の病気かと思ったら、数値的には異常なしって……何もわからないって、それはそれで怖くて」
竜也の声は途中から震えて、微笑んだばっかりの目元に涙がにじんだ。
「原因、ないわけじゃないと思う」
「どこか悪いんですか?」
「きっと、自分で自分の体をボロボロにしてきたせいだ」
白い天井。
まだ終わらない点滴。
遠くで人の行き交う足音。
今、何時なんだろう?
カーテンで仕切られた向こう側にも、わたしと同じように点滴を受けている人がいるんだろうか。
喉が渇いていた。
つばを飲み込むと、さっき吐いた胃酸で荒れた食道と、ピアスホールを開けたせいで腫れた喉のリンパが、別々の痛み方をした。