死にたがりティーンエイジを忘れない
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その晩、電話がかかってきた。
母に呼ばれて、わたしはてっきり智絵からだと思って、子機の外線をつないだ。
電話の相手は、智絵ではなかった。
〈よう、久しぶり。蒼がやっと電話に出てくれた〉
雅樹だった。
電話越しだからか、声変わりが少し進んだのか、記憶にある雅樹の声よりかすれて低く聞こえた。
「用事?」
〈いや、別に。何となく。元気だった? 病気とか、してない?〉
「……心配されるようなことは、何もない」
〈だったらいいけど。夏休みは? 木場山に遊びに来ないの?〉
「行かない。みんな部活とか家の用事とかあって、暇じゃないだろうし」
〈確かにね。いなかだから、祭りやお盆も昔ながらで、盛大にやらなきゃいけないもんな。そういや、この間、電話したときにおばさんから聞いたけど、蒼は帰宅部なんだって?〉
「やりたい部活が見付からなかったから。バレー部は、ジュニアから上がった子が幅を利かせてて、学校で一二を争うくらい雰囲気が悪いって評判だし」
雅樹は低い声で笑った。
わたしは耳元に息を吹きかけられるような錯覚におちいって、思わず首をすくめた。