死にたがりティーンエイジを忘れない


限界だった。

今まで誰にも言えずにきた、壊れた毎日のことを、わたしは竜也に明かした。


病んでいる、狂っていると、自分を責め続けてきた。

みじめなところから這い上がりたくても、食べたい吐きたいという衝動に、すぐに呑まれた。

そうじゃなかったら、ナイフで腕に赤い線を引いて、流れる血をじっと見ていた。


やせたいとか、美しくありたいとか、醜い自分は認めたくないとか。

ダイエットから摂食障害におちいった、目に見える理由はそのあたりにあるとしても。


そもそもわたしは、自分で自分を許していないから、自分を追い込んで自分を傷付ける。

なぜ許せないかというと、何一つ楽しくない学校という世界があったから。


中学二年のとき、智絵がいじめられるのを止めることができていたら、その後のわたしの人生も大きく変わっていただろう。

でも、そんな「もしも」を言ったところで、何の実りもない。


現実はこうだ。

死にたい死にたいと中途半端なことを願いながら、薬を飲んで眠っても、激痛で病院に運ばれても、生きている。

みじめだけれど、痛みが去ったことにホッとして、助けを求めて竜也にすがって。


「蒼さん、ギターの練習、再開してくださいよ。言えずにいたけど、おれ、大学の入学祝いで、カホン買ったんですよ。ドラムの一種のカホン」

「え?」

「カホンとギターだったら合わせられるから、蒼さんと一緒にできることが何かあればいいなと思って、ちょっと練習してて。だから、蒼さんもギター弾いてくださいよ」

「……もう忘れた」


< 322 / 340 >

この作品をシェア

pagetop