死にたがりティーンエイジを忘れない
「ギターも、小説も。やりたいことやったらいいじゃないですか。今の蒼さん、楽しむことを恐れてるみたいだ」
「怖いよ。楽しいって気持ちに、罪悪感がある」
「楽しいは正義ですよ。楽しめばいい。過去にとらわれないで。蒼さんが今、苦しんだとして、それで蒼さんの大事な人が救われるんですか?」
「わかってる。理屈はそうだと思う。でも……」
「苦しいほうへ苦しいほうへ、わざわざ行かないでください。一緒にいて楽しくない人となんて、一緒にいなくていいと思います。別れて、おれと付き合ってください」
竜也は正しい。
当たり前で、だからこそ残酷だ。
わたしには当たり前の判断ができないんだと、それをハッキリと突き付けてくる。
痛い、痛い、痛い。
血と膿がたまって腐りかけた傷に、ざっくりとナイフを刺し込むみたいに。
でも、その鮮やかな痛みが、まぶしいくらい明白に示している。
わたしはこれからどうするべきなのか。
どうせ痛むのならば、病んだところを全部切り落とすための痛みを選びたい。
ずるずると病みを深めていくだけの、そんなみじめなぬるま湯は、もうイヤだ。
点滴が終わると、タクシーで家まで帰った。
治療の費用は、親の口座から引き落としてもらう手続きを取った。
竜也はわたしを部屋まで送って、自転車に乗って帰っていった。
わたしは、ぐったり疲れ果ててベッドに沈みながら、笹山にメールを送った。
〈大事なお話があります。どこか外で会って話したいです〉