死にたがりティーンエイジを忘れない
うんざりした。
「わたしは本気にしたことなんかない。結婚するって、意味わかんなかったし、今でもわかんない。恋愛もそう。わかんない」
胸の奥がザラザラする。
ドキドキじゃなくて、ザラザラ。
あるいは、悪寒がするようなザワザワ。
雅樹は何を考えているんだろう?
電話越しとはいっても、噂になっている相手に直接、恋愛感情がどうとか訊くなんて。
恋愛だ何だって話が、わたしにわかるわけがない。
イライラする。
結婚して子どもが生まれて幸せに暮らしましたっていう「めでたしめでたし」の意味が、わたしには昔からわからなかった。
そういうのが幸せというものなんだと大人に説明されても、納得できなかった。
大人になれば、その幸せの価値が理解できるらしい。
じゃあ、わたしには理解できる日は来ないかもしれない。
そんなふうに、子どものころから思っていた。
わたしは、大人になるという将来像を思い描いたことがない。
大学生になった自分とか、二十歳を迎える自分とか、想像できない。
ましてや、大人になって何かの仕事をしている自分なんて。
だから、恋愛なんかわからない。
その先にあるかもしれない結婚というものは、もっとわからない。
〈なあ、蒼〉
「電話、切るよ」
〈何でそんなにイライラしてんだよ? 今日、ずっとだろ。何かイヤなことでもあった?〉
「あんたが変な話するからじゃん」
〈その前からだろ。悩みとかあるなら、聞くよ〉
「余計なお世話」
雅樹は噴き出した。
〈きっつー! やっぱ蒼は蒼だな〉
「は?」