死にたがりティーンエイジを忘れない
〈さっきも言ったけど、最近、おれモテんだよ。そういうひでー言い方する女子、全然いなくなっちゃってさ、やりづらいんだ。
でも、もしこっちに蒼がいるままなら、蒼だけは態度が変わらないんだろうな。安心する〉
違う。
何を言っているんだろう?
わたしは変わったよ。
何もかも。
雅樹が知らないだけ。
雅樹に見せていないだけ。
喉が痛い。
昼間に智絵と話して、今は雅樹とも話して、これで一体、何日ぶんのおしゃべりになるだろう?
こんな現状、雅樹にはイメージできないでしょ?
わたしは咳払いをして、言った。
「おじさんやおばさんによろしく。長電話になったら、親に迷惑かかる。そろそろ本当に切るから」
〈了解。まあ、時間あるとき、木場山に遊びに来いよ。みんな歓迎すると思う。それじゃあ〉
「バイバイ」
電話の子機を耳元から離して、通話終了のボタンを押す。
通信が途切れる直前、雅樹が何か言ったように聞こえた。
わたしの名前を呼ぼうとしていた気がする。
呼ばれたって、応えようがない。
わたしは変わってしまったんだ。
情けなくてカッコ悪い、弱い人間になってしまった。
こんな姿、前のわたしを知っている人には見せたくない。
胸の奥は、ザラザラし続けている。
疲れるなあ、と思った。
感情なんか全部死んでしまえば、ザラザラもチクチクもズキズキもしないんだろう。
そうしたら、わたしはあのくだらない学校にも平気で通えるようになるんだろうか。