死にたがりティーンエイジを忘れない
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夏休みの間に、智絵と何度も会った。
好きな小説や漫画の話をして、お互いの小説とイラストを見せ合って、本の貸し借りもした。
わたしがギターを弾けることと、歌うのが好きなことも話した。
智絵は少しピアノが弾けるらしい。
気が向いたら合奏してみようか、という話にもなった。
わたしは少しおしゃべりのやり方を思い出したし、ときどき笑うこともあった。
始業式の朝、わたしは智絵と落ち合って一緒に登校した。
わたしや智絵の住む地区は、ギリギリ徒歩通学のエリア内だ。
もう少しだけ遠ければ、バスや自転車での通学が認められるのだけれど。
智絵がひっそりした声でしゃべるのは、癖になっているらしかった。
少しつっかえながらしゃべるのも治らないそうで、本人はひどく気にしている。
「わたしは気にならない。謝らなくていいよ」
そう言ったら、智絵はうつむきがちに歩きながら、何度もうなずいた。
長いみつあみが不規則に揺れた。
「ありがと……そんなふうにかばってくれる人、あんまり、いなくて」
「美術部には、しゃべれる相手がいるんでしょ?」
「う、うん。でも、彼、兼部してて、けっこう人気があって……なかなか会えないし、美術室じゃない場所では、申し訳なくて、話せない」
「彼? 男子なんだ」
智絵はうなずいて、そのまま深くうつむいた。