死にたがりティーンエイジを忘れない


でも、わたしの考えはピントがずれていた。

そのことを思い知ったのは、校門のすぐそばでのことだ。


華やかな女子の声に呼ばれた。


「蒼ちゃーん、おはよーっ!」

「ウチらと一緒に教室いこー!」


同じクラスの女子だ。

ただし、名前と顔はいまいち一致しない。


智絵がビクリと体を震わせた。


「ご、ごめ……あたし、先に行く……」


よろめくような足取りで、智絵はサッとわたしから離れた。

追い掛けようとしたわたしは、スカートの短い女子の集団に囲まれた。


「アレと一緒にいたらダメだよ! くさいのがうつるよ!」

「くさい?」

「根暗で本ばっか読んでるくせに、成績悪いんだよ。アレって、マジバカなの」


智絵のことを指して「アレ」としか呼ばない。

彼女たちは智絵を人間扱いしていない。


だからなのか、と、わたしは初めて理解した。


学校が近付くにつれて、智絵の口数は減っていた。

顔はだんだん伏せられていって、視線は足下ばかりに向けられていた。

なぜそうだったのか、やっとわかった。


智絵はいじめられている。

一学期の間、わたしが目を背けてきた同じ教室の中で。


上田への気持ちを誰にも言ってはならないのも、いじめられっ子の智絵が関わることで上田に被害が飛び火しかねないから。


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