死にたがりティーンエイジを忘れない
残暑のきつい九月の朝なのに、体が冷たくなっていくみたいだった。
わたしは、きゃーきゃー騒ぐ女子の集団に囲まれたまま、智絵を追うこともできなかった。
「蒼ちゃんは頭いいんだから、底辺と一緒にいちゃダメ!」
「そーそー。ウチらと一緒に教室いこ?」
「あっ、ウチクラの男子、来たー! すっご、真っ黒じゃん」
一目で「染めている」とわかる色の髪をした男子が数人。
ガニ股で、かかとを踏んだスニーカーを引きずるようにして、左右に揺れながら歩いてくる。
「おーっす! 花火大会以来?」
「おめーらも真っ黒じゃん。女子だけで海とか行ったんだろ?」
当時の男子の制服の着こなしは「腰パン」が流行っていた。
今のファッションの「腰ばき」よりもずっと低い位置でズボンをはくスタイルだ。
誰もがやっていたわけではなく、「イケてる」と勘違いしている連中が、はく位置の低さを競っていた。
当然、派手な柄のトランクスが丸見えだった。
人によっては、トランクスごと低めにはいていた。
正直言って、わたしは「不潔だ」としか感じなかった。
他人の下着も肌も見たくない。
嫌いだ、イヤだという感情を、わたしは隠すつもりもない。
それなのに、なぜなのか。
女子の集団につかまったわたしを、腰パン男子の集団は平然と輪の中に引き込もうとする。