死にたがりティーンエイジを忘れない
琴野町の図書館にドラえもんがあるのを知っていたから、方眼紙に模写して寸法を書き入れた。
設計図は、正面からと横から。身長と頭囲が両方とも一二九.三センチメートルで、これを二.五倍にした寸法が必要。
厚みのバランスは、漫画に描かれた姿から推測して数字を出していく。
「立つのかな、これ?」
細く割った竹を曲げて、針金で縛って、骨組みを作る。その上に模造紙を貼って、色を塗る。
完成品がどれくらいの重さになるのか、予想できない。
実物のドラえもんは一二九.三キログラムで、そこまで重くなることはないだろうけれど。
文化祭の準備期間は二週間。
放課後には、部活よりクラスでの準備を優先させる時間が設けられる。
ロングホームルームが増えて、その時間も全部、文化祭の準備に当てられる。
準備期間の初日で、わたしは感じた。
ハッキリ言って、地獄だ。
学校じゅうが浮かれている。
調子に乗っている。
作業はほとんど進まない。
遊ぶための時間が増えた、と思っている人ばっかりだ。
三日、四日。
浮かれた空気が加速する。
作業は、どちらかと言えば男子の手が必要だ。
竹を割ったり曲げたりするには腕力が必要だから。
でも、男子は、作業場である教室に寄り付かない。
クラスのパワーバランスが女子にかたよっていることを、わたしは肌で感じた。
女子が固まって、つるんで、しゃべって、笑って、はしゃいでいる。
ほとんどの男子は、そこに入ってこられない。