死にたがりティーンエイジを忘れない
クスクス笑う声が聞こえる。
「グズ」
「バカ」
「ゴミ」
「キモイ」
「うざい」
「くさい」
「死ねばいいのに」
「ちえって名前のくせに、ちえおくれ」
ふざけんな。
血の気が引いていく。
怒りと悲しみと憎しみが一斉に湧き出して、それが途方もなく大きくて、わたしは自分で自分の感情が制御できない。
動作も制御できない。
へし折りそうなほど強く握っていた竹の枝を、わたしの震える手は取り落とした。
どうして震えているんだろう?
どうして寒気を感じるんだろう?
怖い?
違う、怒っている。
でも、それ以上に混乱している。
教室のあちこちに、楽しげな悪意が渦巻いている。
ぐるぐると渦巻いて、激しさを増しながら、悪意はひそやかに、ただ一人へとぶつけられる。
智絵へと。
智絵はどうしている?
独りぼっちで、逃げ出しもせずに、どうしてそこにいるの?
誰かの声がわたしを呼ぶ。
「蒼ちゃん、こっちおいでよ」
わたしは悪意の側なの?
呼ばれる先はそっちなの?
智絵は声を上げられない。
わたしは智絵のほうへ行かないといけない。
意志を示さないといけない。
わたしは口を開く。
「このままじゃ、作業、終わらない」
言えたのは、それだけだった。
一瞬、少しだけ静かになった気がした。
次の瞬間、作業時間の終わりを告げる合図の放送が流れた。
だらだらと空気が崩れていった。