死にたがりティーンエイジを忘れない
何のためにわたしはここにいるんだろう?
誰だかわからない人たちが、わたしに「一緒に帰ろう」と言う。
わたしは「もうしばらく残る」と言う。
智絵が逃げるように教室を出ていく。
美術部の展示作品も仕上げないといけないらしい。
本当はクラスの展示の準備なんてやりたくないはずだ。
わたしだって、こんな教室にはいたくない。
クラスのために時間を使うのはバカバカしい。
でも、今はタイミングが悪い。
作業の手を止めたら、誰かと一緒に帰る流れになる。
そのとたん、左の手のひらいっぱいにチクチクとした痛みが走った。
危うく声を上げそうになって、ギリギリで呑み込む。
ボーッとしていたのか混乱していたのか、わたしはいつの間にか軍手を外していた。
素手で竹を握りしめて、ギュッとたわめた瞬間、ささくれだった硬い繊維が手のひらに突き刺さった。
とっさに竹を手離す。
痛む左手を見る。
血が赤い玉のように、ぷくぷくと、あちこちに膨れ上がった。
裂けたり折れたりした竹の繊維がいくつも、皮膚に刺さったままになっている。
指には、軍手越しに針金が刺さってできた傷もある。
わたしは左手を握りしめて教室を出た。
幸い、誰かがついてくる気配もない。