死にたがりティーンエイジを忘れない


保健室で治療してもらった。

消毒液がしみたのは最初の瞬間だけで、後は、かゆいようなもどかしいような変な感触になった。

そのむずむずする感触も、刺さったままの竹の繊維も、傷ごと全部、握りつぶしてしまいたい衝動に駆られた。


針金でできた傷が化膿しかけていたらしい。

道理で腫れているわけだ。

痛がゆくて、思わず噛み付いてしまうことがよくあった。


保健室の先生からクラスの様子を訊かれて、わたしは正直に話した。

いじめがあること。

居心地が悪いこと。

作業が進まないこと。


その状況を担任が知らないことも話したら、伝えるべきだと言われた。

職員室に話しに行くのは面倒だった。

紙に書いて伝えようと思った。


左手に包帯を巻かれて保健室を出ると、ちょっと行ったところの廊下で上田と鉢合わせした。

上田はわたしの顔と手を見比べて、声をひそめた。


「さっきケガしたんだよね? 大丈夫?」

「見てたの?」

「手が離せない作業してたから、気になったんだけど、声もかけられなくて。傷はどう?」

「たいしたことない」

「そっか。二学期が始まってから、疲れるよね。琴野中の行事の雰囲気って、こんな感じなんだ。去年もそうだったし、先生たちが言うには、毎年こんなふうなんだって」

「期待してなかったし、別にいい。でも、まじめにやってる人だけがバカを見るようなのは嫌いだから、担任に伝えるつもり」


< 51 / 340 >

この作品をシェア

pagetop