死にたがりティーンエイジを忘れない


.:*゚:.。:. ☆.。.:*・゜


朝からずっと吐き気があった。

無理やり給食を胃に押し込んだら、昼休みに吐いた。

胃液まで出尽くして、苦いようなすっぱいような味が喉から口にかけて残った。


胃酸で焼けた喉の奥がヒリヒリして、声がしゃがれた。

ああ、歌えないな。

急にそんなことを思った。

喉が無事だったとしても、歌いもしないくせに。


キリキリ痛む胃を押さえながら保健室に行った。

横になりたかった。


保健室は満杯だった。

教室に行けない子たちが、ベッドもソファも椅子もすべて占領していた。

みんな、パッと見には普通にしている。

笑い合っている人たちもいたけれど、わたしの入室に気付いたとたん、彼らは押し黙った。


養護の先生が、困ったような顔をした。


「どしたの? 顔色よくないけど、具合悪い? 熱でもある?」

「胃が痛くて。吐きました」

「早退する?」

「今からロングホームルームで文化祭の準備ですけど、最後に数学があるので、抜けたくないです」


ひとまず熱を測ってみたけれど、やや低めの平熱。

教室に行けずに体調を崩している子たちを追い出してまで、ベッドやソファで横になるわけにはいかない。


いや、養護の先生は「代わってもらってもいい」と言った。

わたしは「いらない」と意地を張った。

わたしだって教室にいたくない。

彼らのつらさはわかるつもりだ。

彼らがやっと見付けた世界に土足で入って、そこを奪いたくはない。


< 92 / 340 >

この作品をシェア

pagetop