死にたがりティーンエイジを忘れない


先生用のクッションの利いた椅子を貸してもらって、保健室の隅で体を丸めて座っていた。

何をするでもない時間がもったいなくて、何でもいいやと思って、棚に置かれていた本を手に取った。


思春期の子どもが抱え得る精神的な病気についての本だった。

付箋が貼ってある項目を開いたら、摂食障害についてだった。


そういえば、保健室登校の子には極端な体型がけっこう多い。

すごくやせている子と、すごく太っている子。


本に書いてある。


「心のバランスが崩れると、当たり前のことがうまくできなくなる。食べることや眠ることに障害を抱えるようになる」


わたしは、引き寄せられるようにその本を読んだ。

実例を挙げながらの説明だったから、大人向けの専門的な本ではあっても、わかりやすかった。


カーペンターズという、アメリカのミュージシャンがいた。

兄妹で組まれたデュオだった。

演奏担当は兄のリチャード、歌は妹のカレン。

『トップ・オブ・ザ・ワールド』や『イェスタデイ・ワンスモア』など、誰もが聴いたことのある名曲を世に送り出した二人だ。


一九八三年、カレン・カーペンターは亡くなった。

直接の死因は心臓麻痺。

彼女の心臓を弱らせたのは、長年にわたる拒食症だった。


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