死にたがりティーンエイジを忘れない


説明書に載っているとおりの順番で、毎度いくつかの手続きをしながらダイヤルアップして、検索エンジンのページにたどり着く。

そこから、智絵の好きな小説や漫画やゲームのタイトルを冠したサーチエンジンに行って、気になるサイトに進む。


データ量の重たい絵は、なかなか表示されない。

時間をかけてやっと表示されても、拍子抜けすることがよくあった。

だって、智絵の描く絵のほうがずっとうまい。


「ホームページ、やってみたら?」

「あ、あたしが?」

「うん。一番になれるよ」

「む、無理無理。ホームページ作るには、HTMLだっけ、そういうプログラムを書かなきゃいけないでしょ? あたし、そういうの、できない」

「そうかな?」

「蒼ちゃんならできそう。二次創作の小説、ホームページで公開されてるのより、蒼ちゃんのほうが上手だし」


わたしがホームページを作ったら、智絵はこうして見てくれる?

家から出られない体調でも、寝込んでいる日でも、わたしに会いたくないときでも、ネット回線越しなら読める?

わたしの小説を楽しんでくれる?


もしも、智絵がそうやって、新しい形で楽しみや自由を手に入れることができるのならば。

それはとてもいいことだと思った。

健全で、ささやかだけれども幸せなことだと思った。


高校受験が終わったら、やってみよう。

高校に上がったら、きっと、どうしたってわたしは智絵と縁が切れてしまうだろうから。


< 97 / 340 >

この作品をシェア

pagetop