死にたがりティーンエイジを忘れない
説明書に載っているとおりの順番で、毎度いくつかの手続きをしながらダイヤルアップして、検索エンジンのページにたどり着く。
そこから、智絵の好きな小説や漫画やゲームのタイトルを冠したサーチエンジンに行って、気になるサイトに進む。
データ量の重たい絵は、なかなか表示されない。
時間をかけてやっと表示されても、拍子抜けすることがよくあった。
だって、智絵の描く絵のほうがずっとうまい。
「ホームページ、やってみたら?」
「あ、あたしが?」
「うん。一番になれるよ」
「む、無理無理。ホームページ作るには、HTMLだっけ、そういうプログラムを書かなきゃいけないでしょ? あたし、そういうの、できない」
「そうかな?」
「蒼ちゃんならできそう。二次創作の小説、ホームページで公開されてるのより、蒼ちゃんのほうが上手だし」
わたしがホームページを作ったら、智絵はこうして見てくれる?
家から出られない体調でも、寝込んでいる日でも、わたしに会いたくないときでも、ネット回線越しなら読める?
わたしの小説を楽しんでくれる?
もしも、智絵がそうやって、新しい形で楽しみや自由を手に入れることができるのならば。
それはとてもいいことだと思った。
健全で、ささやかだけれども幸せなことだと思った。
高校受験が終わったら、やってみよう。
高校に上がったら、きっと、どうしたってわたしは智絵と縁が切れてしまうだろうから。