死にたがりティーンエイジを忘れない
わたしは今、ノートを届けるという名目があるから智絵の家に来る。
それがなくなったとき、どうすればいいのか。
どうしようもないんじゃないか。
届けたノートが智絵の役に立っているようには、あまり感じられない。
むしろ智絵の負担になっている気がする。
智絵の「ありがとう」が何だか心苦しい。
自己満足。
たぶん、それだ。
智絵のためにやっていることのように見せかけて、わたしはただ自分のために動いている。
だって、キッチリ授業に出てノートを取るようになって、成績がめちゃくちゃ上がった。
だから続けたいって思ってしまうところが、やっぱりある。
すごく汚い人間だなって、自分のことが嫌いになる。
智絵が、机の上にあった一枚のチラシを手に取った。
「今日、文化祭だったんでしょ」
どんな感情のこもった言葉なのか、とっさにわからなかった。
わたしは智絵の顔を見た。
真っ白でやせて、目がひどく大きな顔は、何の表情も浮かべていなかった。
「わたしは、自分の仕事が終わってすぐに早退してきた」
「理科の実験?」
「実験補助。あと、会場の案内。実験の準備や片付けは結局、先生が自分でやってた。液体窒素とか、扱いが難しいものを使ってたから」
「液体窒素?」
「すごく冷たい液体で、バラの花を漬けたら、何秒かのうちに完全に凍ってしまう。花をつかんだら、グシャッて。破片になってた」