シンデレラは騙されない
「別に気にしないでいいから。
他人がどう見ようと、俺の麻里への見方は何も変わらない。
そんな事よりこんな風に好きな時間に好きな人と食事もできないなんて、そっちの方が問題ありだな」
凛様は涼しい顔をしている。
でも、私の動揺は中々治まらなかった。
「俺が悪いんだ、ごめんな。
スマホやら会社から持たされた携帯の電源を全部切ってから。
だって、お昼の休憩の時間くらい、ゆっくり時間を過ごしたいだろ?」
私は大きくため息をついた。
凛様、スマホの電源を切っちゃダメです…
でも、天真爛漫な凛様に何も言えない私がいる。
「麻里、今日、一緒に帰ろう。
俺は定時には帰る予定だから、終わったら電話して」
私はすぐに首を横に振る。
「ダメです。
だって、凛様は今日が初日なのに、そんな定時には帰れないはずです。
私は私の時間で帰りますから、凛様も自分の時間で帰って下さい」
凛様は残っている私のアイスコーヒーをいい?と聞いて、全部飲み干した。
「そうかもしれないけど、とりあえず、麻里の仕事が終わったら俺に電話する事、OK?」
子供のようで、でも、かなり強引な凛様。
取り扱い説明書がほしいくらいに、凛様のコロコロ変わる性格についていけない。
私、一体、どうなってしまうのだろう…