シンデレラは騙されない
ホテルの正面に車を回した凛様は、何も言わずにドアマンの人に車の鍵を渡した。
そして、凛様は助手席に座る私をエスコートして、ホテルのロビーへ連れて行く。
ホテルのロビーでは、凛様の顔を見たホテルマンが颯爽と私達の元へ駆け寄り、二人分の荷物をさりげなく受け取った。
そして、ロビーの真ん中にあるエレベーターとは違う場所へ私達を案内した。
奥の方にある豪華絢爛なスペースに一基だけエレベーターが設置されている。
「こちらへどうぞ」
凛様は当たり前に、私は挙動不審者のように、その異次元へ続くと思わせるエレベーターに乗り込んだ。
「凛様、本当にここに泊まるんですか?」
私は白色だけどデニムで来た事を後悔した。
「何で?」
凛様は私の耳元で優しく囁く。
「もっと、ちゃんとした格好で来たのに…」
凛様は目の前にホテルの人がいる事に気付いてないみたいに、私の頬に軽くキスをする。