シンデレラは騙されない
「何を着ても、麻里は綺麗だし可愛いよ。
たまにしかデートができないから、今夜は最高の夜にしたいと思っただけ。
一緒にいれる時間は短いかもしれないけど、でも、その時間を無駄にしたくない。
最高の夜にしよう…
この夜を始まりにする…
それは約束するから」
最上階にあるスウィートルームはフロアに二部屋しかない。
その内の、夜景が綺麗な部屋を凛様は予約していた。
「頼んでおいた物はもう準備できてる?」
凛様はホテルマンにそう聞いた。
やり手に見えるそのホテルマンは笑顔で頷き、そのスィートルームへ続くドアを華々しく開けてくれた。
ドアの向こうは、映画のスクリーンのような東京の夜景が真正面に広がっている。
私は夢のような世界に息をする事も忘れていた。
そんな私を凛様は手を引いて中へ連れて行く。
ホテルマンがいなくなると、凛様はその時を待っていたみたいに、私を強く抱きしめ何度もキスをした。