シンデレラは騙されない


本当はこんな豪華な部屋も、絵画のような美しい夜景も、何も必要なかった。
二人きりの時間が、空間が欲しかっただけ…

「麻里…
もし、俺が我慢できなくなって、麻里を襲おうとしたら、麻里は俺の事が嫌いになる?」

私も凛様も息をするのもやっとだった。
キスをしてもし足りない、この渇望感は止む事がない。

私は言葉にするのはためらったけど、でも、その代わり私の方から甘ったるいキスを返す。
凛様の事が好き…
その溢れる想いをそのキスに全て託して…

抱き合う私達の隣には、ホテルの人が準備してくれたワインとオードブルがワゴンに載っていた。
でも、凛様はもつれ合う私をひょいと持ち上げて、奥にあるベッドルームへ連れて行く。

真新しいシーツに包まれたフカフカのベッドに二人で笑いながら倒れ込んだ。

凛様は私の髪を優しく撫でながら愛おしそうに微笑むと、その口元は私の首元へ移動する。

「麻里、どんな事があっても、俺は麻里を離さない…
それは、何があっても変わらないし揺るがない…

だから、俺を愛してほしい。
いい?

頼むよ…」




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