シンデレラは騙されない
私は何も言わずに平塚さんの目を見ていた。
私が平塚さんの目を見る事で、平塚さんは必ず私の目を見る。
私の瞳は嘘はつかない。
どう言われても今の私は凛様が好きで結婚はできないにしても、だからといって他の男性に寄り添うなんてあり得ない。
「……ごめんなさい。
今の私は、平塚さんの想いに答えられません。
それに、私自身、平塚さんの事を何も知らないし、こういうお見合いとかも、何だか、どう対処したらいいのかもよく分かりません。
綾さんや会長には私の方からちゃんとお話ししておきます。
今日は楽しかったです。
ありがとうございました」
「麻里ちゃん、待って」
平塚さんは咎める事もせず、私を優しく見つめている。
「とにかく友達になろう。
麻里ちゃんと凛太朗君の関係は、僕には大した理由にはならない。
僕達はまだ出会ったばっかりで、出逢ったばかりの人間は最初は友達から始めるもんだろ?」