シンデレラは騙されない


「凛様、おかえりなさいませ」

「凛様、おかえりなさいませ」

二人のお手伝いさんの声もウキウキ感満載だ。
そして、ドタバタ音を立てながら、その凛様が近づいて来る。

「星矢、また大きくなったか?」

その男の声、どこかで聞き覚えが??

星矢君をおぶってリビングに入ってきた男を見て、私は最大級の唖然に見舞われる。

……あ、あのミュージシャンが、麗しき凛様なの??

「あ~、やっぱりね。
新しいお手伝いさんだと思った。

っていうか、俺の部屋、入れなくなってんだけど」

……お手伝いさんじゃ、ありません。

私はそう言いたかったけれど、可愛らしいお手伝いさん達を前にしてそんな事は言えなかった。
でも、そのお手伝いさんっていう言葉に、すごくショックを受けている。
涙が出てきそうなくらい…

「あの部屋は、凛太朗の部屋でも何でもないでしょ?
ゲストルームをあなたが勝手に使ってただけじゃない。

あの部屋は今日から一年間、麻木麻里さんの部屋になります。
凛、分かった?」


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