シンデレラは騙されない


髪の毛ボサボサのツンツンのだらしないミュージシャンは、この家の御曹司という事実だけで、ボサボサもツンツンも何だか素敵に見える。

でも、やっぱり、お手伝いさんっていう言葉が、私の頭の隅の方で私を凹ませた。
この人にとっては、家庭教師もお手伝いさんも一緒なのかもしれないけど…

凛様はじゃれつく星矢君をとりあえずソファに座らせて、私に握手を求めてきた。

「一年間、よろしくね。
どう、悪魔はいそう??」

私は悪戯っぽく微笑む凛様に顔をしかめてしまった。

「悪魔なんていません!
皆さん、素敵な人ばかりです!」

私は焦りながら凛様にしか聞こえない小さな声でそう言うと、凛様は、更に目を細め意地悪っぽく口角を上げて、私の耳元でこう言った。

「悪魔は…
目の前にいる俺だったりして」




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