シンデレラは騙されない


私は凛様の胸の中でまどろんだ。
幸せな場所が私にあるとするなら、きっと、それは凛様の腕の中。
私が子猫みたいに凛様の胸にもたれてゴロゴロしていると、凛様は目を細めてこう聞いた。

「悠馬さんに、つき合えないってちゃんと言えたか?」

私はコクンと頷いた。
それはちゃんと伝えた。
どれくらい伝わったかは分からないけど。

凛様はゴロゴロする私の頬を優しく包んで、軽めのキスをする。
そして、ニヤニヤしながらポケットから何かを取り出した。

「今見える星には劣るかもしれないけど…」

凛様の手のひらには、シルバーの光沢が美しい小さな箱が載っている。

「時間がなくて、包装とか全部省いてもらった。
でも、この箱、綺麗だろ?」

私は凛様の手の中にある箱の中身が予想できた。
だからこそ、複雑な想いが絡み合う。

「開けてみて」



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