シンデレラは騙されない


……ふ~~ん。

これは心の声。
とりあえず今日が初対面の山本さんに、そんな素っ気ない返事はできない。

「山本さん、凛様の事が大好きに見えるのに、何で他の人と結婚しちゃったんですか?」

この質問の方が、初対面の山本さんに聞くべきじゃなかったのかも。
だって、それまで元気だった山本さんが、膝が崩れるように私の隣に座ってきたから。

「麻里さん、あ、麻里さんって呼んでもいい?」

急にフランクに話し出す山本さんは、見ていて飽きない。
私は笑顔でうんと頷いた。

「凛様を好きになっちゃいけないんです。
だって、私達とは、何もかもが違い過ぎる。
こんな立派なお家柄に生まれてきた人は、やっぱり神様に選ばれた特別な人…
もし、仮に、本気で私が凛様を好きになったとしても、私の片思いで終わるのは目に見えてるし、そんな事恐れ多くて口に出す事もできない」

……ふ~~ん。

これは納得の心の声。
こんな立派な家柄に生まれる人は、神様に選ばれた人…
その言葉は、会長や綾さんを見ているから納得できた。



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