シンデレラは騙されない
「どうぞ…
まだ、綺麗に片付いてないけど」
私のその言葉に星矢君は微笑んで、お邪魔しますと言って部屋に入る。
私も微笑みながらドアを閉めようとした時、誰かがドアを掴んで閉めようとしていたドアを大きく開いた。
「僕も…
お邪魔します!」
凛様、登場…
働かない最低な男のはずなのに、私の胸は小さくキュンキュンと疼く。
「あ、はい…」
実際、星矢君の顔より凛様のお顔の方が、ちょっとだけ魅力的だ。
……あ~、ヤバい、ヤバい、私まで凛様の虜になってどうするの?
「星矢、クローゼットの中を探してごらん」
凛様はそう言うと、自分の住み家に帰ってきたようにリラックスして、モスグリーン色の大きめのソファに腰かけた。
私は一瞬で居場所を失くしてしまう。
凛様はそんな私を執拗に見ている。
ちょっとだけその空気感に慣れてくると、その執拗なまでの凛様の視線がうっとうしくなってきた。
「な、何か、顔についてますか?」